シミに!「ハイドロキノン」のおはなし
厚生労働省が「美白(※)有効成分」として認可している「医薬部外品」には、およそ20種類あります。
その代表的なものは、ビタミンC誘導体・トラネキサム酸・プラセンタエキス・アルブチン・コウジ酸など。
じつは、ハイドロキノンはこれら「医薬部外品」には入っておりません。「化粧品成分」としてしか認可されていないのですが、上記の医薬部外品よりも美白(※)効果が強い成分なのです。
①ブログは論文もチェックしながら、だいたい休日に書きます。(東海道新幹線)
ハイドロキノンは、海外では古くからシミ治療剤として活用されており、当時から美容好きの皆さまには超有名でした。
日本で「化粧品成分」として認可されたのは2002年です。まだ20年そこそこなんですね。
このため、ハイドロキノンの性質や正しい使い方などの情報が浸透しているかというとそうでもない。そこでこの機会に、みなさんにお伝えします!
1.まずハイドロキノンで注意すべきなのは、「光線過敏症」を起こすことがあるということなの。だから、塗るのは夜だけになさってください。
朝塗ってレジャーに出かけたりすると、赤く炎症を起こしてしまいます。肝斑などはかえって悪化しちゃうから要注意です。
2.次に濃度のことです。
上記の通り、ハイドロキノンは「医薬品」や「医薬部外品」としては認可されていません。あくまで「4%以下の濃度で化粧品に配合すること」のみが許可されております。
「化粧品成分」といえども、「4%ハイドロキノン配合化粧品」の多くはクリニックでだけ取り扱われています。一般に化粧品売り場などで販売されているものは、濃度が1〜2%にとどまります。
これは、ハイドロキノン濃度が高いとリスクがあるためです。高濃度ハイドロキノン剤で、肌が白抜け(白斑。もとに戻りません)してしまったり、色素沈着(組織褐変症)を起こしたという報告も多数あります。個人輸入などで「10%ハイドロキノン」も入手可能ではありますが、わたくしはおすすめしません。
②電車での移動時間はとても集中して勉強できるんです。(近鉄特急)
3.そして刺激性皮膚炎のこと。
ハイドロキノンは一回塗っただけですぐに刺激(一次的刺激)を起こしやすい物質です。
したがって、
(1)ターゲットのシミだけにピンポイントで塗ってください。化粧水や日焼け止めとは異なり、顔全体に塗るようなことはやめましょう。
(2)いきなり複数のシミには使わず、少しずつ様子を見ながら範囲を広げていってください。
使いつづけていて刺激反応があったとしても、2週間くらいでおさまる方が多くいらっしゃいます。ただし一ヶ月以上使ってから刺激が出る(慢性型刺激)という方がまれにおられますので、この場合は使用中止を皮膚科医と相談してください。
じつは20年前の厚労省認可よりも前から、多くの皮膚科がハイドロキノン外用剤を院内で自家調剤し、自費診療に用いておりました。ただし、ほとんどの場合、一次刺激を防ぐためにステロイド軟膏を混合していました(わたしが若いころ勤務していた大学病院でもそうでした)。
しかし最近では、メーカーさんの開発努力で、ステロイドなどが入っていない4%化粧品が市販されるようになりました。わたくしのクリニックでも、そういう製品を患者さまにご紹介しています。
4.最後に、酸化の問題です。
ハイドロキノンはたいへんデリケートな成分(安定性が悪い)で、容易に酸化します。黄色くなるだけでなく、成分が劣化して効果がなくなり、刺激性皮膚炎を起こすだけのシロモノになってしまいます!
これは、最近の優れた製品であっても同じですから、開封後は3ヶ月から半年以内に使い切るようにしてください。
以上4点、ハイドロキノンについて、みなさまにとくに知っておいていただきたいポイントのご紹介でした。これらを踏まえていただければ、たいへん効果が高い成分ですので、皮膚科医の指導のもとで、正しく活用していきましょう!
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(注※)
「美白」という言葉は、国が「医薬部外品」の成分表示に用いてよいと定めている用語ですので、当ブログで使用いたしました。
アオハルエバンジェリスト 小柳えりこ